テントを考える2025 ~ラーテルワークス ソロオコモリ3幕比較編~

アウトドアメーカー『ラーテルワークス』の主力とも言える“ヴァル”“ボーデン”“ヴォ―ゲル”のテイストの異なる3シリーズの中からソロオコモリ幕として物欲の虫が疼いた幕を各一幕ずつピップアップし各種項目ごとに細かく比較検討してみる。

■各シリーズの特徴

3シリーズの特徴とピックアップ3幕の概要とイメージ図がコチラ。

-“ヴァル”シリーズ

ティピー(モノポール)をベースとした“ヴァル”シリーズはサイズ3規格、カラー3規格、種類4種類がラインナップされている。ヴァル2はファミリー、ヴァルライトはソロ向け。ヴァルライトは更に70Dリップストップポリエステル生地とコットンライクでサイズアップした150Dブラッシュファイバーポリエステル生地モデルがラインナップされている。

・[Ratelworks/ヴァルライトBF]
外寸380*290*200(h)cm/収納寸70*34*30(h)cm/インナー寸270*155*170(h)cm/重量13kg。サイズ感及びインナーサイズから見るとソロ向けの幕と言える。ペグダウンなしで自立できないため立ち上げ後の位置調整は出来ないがその分、総重量が他2幕に比べて軽量。前室部のキャノピーを3歩港に立ち上げることが出来る上にブラッシュファイバーポリエステル生地採用で遮光性が高く、耐水圧も5,000mmと高いため、炎天下や降雨時でも日除け及び雨除けスペースをアレンジし易い。ティピー型テント全般に言えることがだがペグダウンの位置により綺麗に張れないことがあるため、形を整えるのにコツが必要。

※正確なイメージ図は製品HPを参照のこと

 

-“ボーデン”シリーズ

クロスフレームをベースとして前方にアーチポールを使い幕内を拡張した“ボーデン”シリーズはサイズ2規格、生地2規格、カラー3規格の全5種類のラインナップ。レギュラーサイズのボーデン/ボーデンBFは奥行400cmと長くインナーテントも380*260*195(h)cmと広いので5人家族にも対応できる数少ない規格。ボーデンMIDは3~4人となっているがゆったり使う場合はデュオがベターかな。ボーデンMIDは執筆時完売御礼再販予定なしとなっているが人気幕なので再再販の可能性はあるのではないかと密かに期待している。

・[Ratelworks/ボーデンMID BF]※通常モデルと同外寸
外寸445*300*180(h)cm/収納寸76*40*38(h)cm/インナー寸300*205*175(h)cm/重量18.5kg。フレームポールが7本と3幕中一番多く設営時間は恐らく一番長いと思われる。サイズ感とインナーサイズを鑑みるとデュオ使いが良さ気。前室部のキャノピーを3方向に展開することが出来るため広い日除け及び雨除けスペースを確保することが出来る。

 

※正確なイメージ図は製品HPを参照のこと

※画像はメーカーHPより引用

-“ヴォ―ゲル”シリーズ

魚座フレームをドーム状に立上げ、後方をアーチポールで前方をハーフアーチポールで拡張したドーム型テント。10個のメッシュパネルを備え換気能及び幕内からの視界が良く、別売のTPUパネルを装着することにより冬や雨天時に換気や雨を避けつつ幕内からの視界を維持できる。オープンは前方のみで後方及び側方向はオープンにすることができないのでメッシュ仕様になるとはいえ風の抜けはやや悪い。煙突穴があり、前方の未開放のこと考えると夏を除く冬メインの春秋冬向きの幕と言えるかな。

・[Ratelworks/ヴォ―ゲルMID]
外寸400*350*195(h)cm/収納寸70*40*30(h)cm/グランドシート寸340*270*195(h)cm/重量12.2kg。

※正確なイメージ図は製品HPを参照のこと

■ソロオコモリ3幕

“ヴァルライトBF”“ボーデンMID BF”“ヴォ―ゲルMID”の仕様比較一覧がコチラ。

-3幕仕様比較一覧

執筆時ボーデンMIDで完売御礼再販予定なしとなっているが人気幕なので再再販の可能は高いと思われる。“ヴァル”“ボーデン”シリーズからはブラッシュファイバー(BF)ポリエステル生地、“ヴォ―ゲル”シリーズからは通常版のポリエステル生地モデルをピックアップ!

シリーズ “ヴァル”シリーズ “ボーデン”シリーズ “ヴォ―ゲル”シリーズ
テント名 ヴァルライトBF ボーデンMID BF ヴォ―ゲルMID
タイプ ティピー ドーム ドーム
カラー グレージュ グレージュ グレージュ
生地 150Dブラッシュファイバー 150Dブラッシュファイバー 68Dリップストップポリエステル
耐水圧(mm) 5,000 5,000 3,000
ポール メイン25mm(A6061)
モノ19mm(A6061)
アーチ13mm(A7001)
センター13mm(A7001)
リッジ/フロント/アーチ13mm(A7001)
バック11mm(A7001)
アーチ14.5mm(A7001)
オーバーハング13mm(A7001)
バック11mm(A7001)
外寸(cm) 380*290*200(h) 445*300*180(h) 400*350*195(h)
外寸乗値(m3) 20 24 27
インナー寸(cm) 270*155*170(h) 300*205*175(h) インナーなし
(グランドシート+フライドア+フライシート)⇒340*270*195(h)
収納寸(cm) 70*34*30(h) 76*40*38(h) 70*40*30(h)
総重量(kg)※ツールバック含まず 13 18.5 12.2
ポール数(本) 4 7 5
対応人数(人) 1~2 3~4 2~3
参考価格 ¥73,000 ¥79,800 ¥79,900
オープン 四面 四面 一面
メッシュ 四面 四面 四面
グランドシート あり あり あり
ルーフプロテクタ なし あり あり
TPU なし なし 別売
ペグなし自立 不可

※正確な仕様は各製品HPを参照のこと

■比較各論

3幕比較各論がコチラ。

-生地比較

BF(ブラッシュファイバー)ポリエステル生地モデルは通常のポリエステル生地に比べコットン調で質感に加え遮光性&耐雨性が高いがフライ重量が約3~4kg重く、コットン調とは言えポリエステル製なので結露は発生し易い。ファミリー幕だとフライサイズの大きさに加えフライ重量が5~6kg増となるため取り回しがかなり悪くなることが予想されるが、ダウンサイジングモデルならそこまで取り回しが悪くならないと考えられる。“ヴォ―ゲルMID”には執筆時BF生地はラインナップされていないがその内追加される可能性は大いにあると思う。“ヴォ―ゲルMID BF”が発売されたと仮定した場合のツールバックを除く予想総重量は+3.5kgの15.7kg…ん!?思ったより重くて取り回しが悪くなるかも…。また、ソロは冬キャンメインなので遮光性が低い方がむしろ幕内が明るくなって良いという考え方もある。

項目 68Dリップストップポリエステル VS 150Dブラッシュファイバー(BF)ポリエステル
カラー グレージュ グレージュ
質感 低い 高い
遮光性 低い(68D) 高い(150D)
耐雨性 低い
(耐水圧3,000mm)
高い
(耐水圧5,000mm)
遮光性 低い 高い
結露 やや多い 多い
取り回し 良い 悪い(フライ重量+3~4kg)

※あくまで個人的見解

-重量比較

“ボーデンMID BF”は執筆時時点で完売再販予定なし。“ヴォ―ゲルMID”はラインナップに無いが仮想として追加。150Dブラッシュファイバーポリエステルは耐雨性と遮光性が高く質感も良いがその分、68Dリップストップポリエステルに比べ約3~3.5kg重く取り回しが悪い。

生地 68Dリップストップポリエステル 150Dブラッシュファイバーポリエステル
テント名 ヴァルライト ボーデンMID ヴォ―ゲルMID ヴァルライトBF ボーデンMID
BF
ヴォ―ゲルMID
BF(仮想)
総重量(kg)※ツールバック除く 10※予測値 15 12.2 13 18.5 15.7kg※予測値

※正確な値は製品HPを参照のこと(予測値含む)

-パネルアレンジ

パネルアレンジを見る限り四方四面がオープン仕様にでき、遮光性と耐雨性が高いBF生地採用の“ヴァルライトBF”と“ボーデンMID BF”は春夏秋の3シーズンに、前方一面しかオープン仕様にならないが、メッシュアレンジが豊富で別売TPUドアオプションを選択可能な“ヴォ―ゲルMID”は秋冬春の3シーズン向けのテントと言えるかな。

≫オープン仕様
“ヴァルライトBF”と“ボーデンMID BF”は四方四面がオープン仕様になり風の抜けが良いく暑い季節でも使い易いが、“ヴォ―ゲルMID”は前面のみオープン仕様でメッシュアレンジが豊富とはいえ風の抜けは悪い。

≫メッシュ仕様
3幕共四方四面をメッシュ仕様になるが“ヴォ―ゲルMID”は10個のメッシュパネルを備えアレンジ幅が広い。

≫キャノピーアレンジ
“ヴァルライトBF”と“ボーデンMID BF”は前室3方向にキャノピーを立ち上げることが出来る。“ヴォ―ゲルMID”は前方向にしかキャノピーを立ち上げることはできないが、キャノピーサイズが大きくパターンも多いため天候によってアレンジが可能。

※正確な仕様は各製品HPを参照のこと

-フレームワーク

フレームワークが最もシンプルで時短展開できるのは“ヴァルライトBF”と思われる。設営時間が掛かるのはフレーム数が7本と遠い“ボーデンMID BF”かな。“ボーデンMID BF”は長いリッジフレームをセットするのが、“ヴォ―ゲルMID”は魚座フレームを立ち上げる行程がやや難しいことが予想される。“ヴァルライトBF”はペグダウンなしで自立できないため立ち上げ後の位置調整は出来ない。“ボーデンMID BF”と“ヴォ―ゲルMID”はペグダウンなしで自立できるため立ち上げ後の位置調整が可能。

※正確なフレームワークは各製品HPを参照のこと

-インナー比較

“ヴァルライトBF”と“ボーデンMID BF”は吊り下げ型のインナーテントが付属しているが、“ヴォ―ゲルMID”は付属していない。“ヴォ―ゲルMID”はグランドシートとフライドアを装着することによりインナーテント調に使用することが出来る。但しボトム周りが閉じているわけではないので蟻等の小虫の侵入は完全には防ぐことはできない。。ボトムスペースを鑑みるに“ヴァルライトBF”はソロ、“ボーデンMID BF”と“ヴォ―ゲルMID”はソロもしくはデュオ使いがベター。

≫ボトムスペース
-“ヴァルライトBF”⇒3.45m2
-“ボーデンMID BF”⇒6.15m2
-“ヴォ―ゲルMID”⇒6.38m2

-イメージ比較(上空視点)

上空視点イメージをみると“ヴァルライトBF”は他2幕に比べボトム面積が一回り小さい。“ボーデンMID BF”は“ヴォ―ゲルMID”より若干ボトム面積が小さいが、“ヴォ―ゲルMID”が台形なのに対し、長方形の形状をしているためコットやマットのレイアウトは容易と思われる。

※正確なイメージ図は製品HPを参照のこと

-イメージ比較(前面視点)

前面視点で見てみると“ヴァルライトBF”と“ボーデンMID BF”はほぼ同等だが、“ボーデンMID BF”の全高が175cmと低いため、身長175cmの小生が直立できるスペースはないため、幕内で過ごすことを考える“ヴァルライトBF”の方が快適と言える。また、“ヴァルライトBF”はティピー型でベンチレーターが頂上部にあるため幕内で調理をした際の料理臭が抜けやすいのは特に冬のオコモリ時に便利♪対して“ヴォ―ゲルMID”は他2幕に比べ一回り大きく且つ開放部が広く幕内空間にも余裕があり身長175cmの小生も幕内で快適に過ごすことが出来ると考えられる。

※正確なイメージ図は製品HPを参照のこと

-イメージ比較(側面視点)

最後に側面視点でのイメージ図を比較してみる。“ボーデンMID BF”の全幅445cmと最長で前室も広いが全高が175cmと低いため、身長175cmの小生が幕内で直立するスペースを確保できない。対して“ヴァルライトBF”と“ヴォ―ゲルMID”は幕内で直立スペースを確保することが出来る。“ボーデンMID BF”の全高が+5cmの180cmであれば広めのソロ、ジャストなデュオテントとして非常に魅力的な幕だったのにな。

※正確なイメージ図は製品HPを参照のこと

■マッチング率

小生のソロのキャンプスタイルがコチラ。

≫小生のソロキャンプスタイル
✅土間スタイル(付属のグランドシートは使わない)
✅カンガルースタイル(付属のインナーテントは使わずコットテントを使用)
✅冬キャンプが多い(春夏秋はファミキャンメイン)
✅石油ストーブをインストールする(常時開放型のベンチレーター必須)
✅寒いと早々にオコモリスタイルに移行(無理に焚火で暖を取ることがない)
✅幕内で直立できるスペースが必須(腰と膝の負担が少ない)
✅別途タープを張りたくない(雨天時は別)
✅雨予報だと中止にすることが多い(ファミキャンの場合は決行が多い)

小生のソロのキャンプスタイルにおけるマッチング率を15の項目別に4段階評価(◎→3P、○→2P、△→1P、×→0P)にて算出した表が以下の通り。ボーデンMID BFの全高が180cmあればマッチング率は高くなるがやはり身長175cmの小生が幕内で直立できるスペースを確保できないのが残念。逆を言えば170cm以下の人はかなり快適に過ごすことが出来ると思われる。

テント名 ヴァルライトBF ボーデンMID BF ヴォ―ゲルMID
①フレームワーク
②整形のし易さ ×
③質感
④キャノピーアレンジ
⑤フルクローズ時換気能 ×
⑥立ち上げの位置調整 ×
⑦直立スペース※身長175cm ×
⑧四方オープン仕様 ×
⑨四方メッシュ仕様
⑩TPUドア × ×
⑪遮光性
⑫耐雨性
⑬耐風性
⑭耐火性 × × ×
⑮結露 ×
総合ポイント 20 17 25
マッチング率※45点満点 44% 38% 56%

※あくまで私見

■まとめ

小生のキャンプスタイルを鑑みると現状マッチング度が一番高いのは“ヴォ―ゲルMID”。質感と遮光性、耐雨性の高いブラッシュファイバー(BF)生地モデルの追加も期待したい。只、重量による取り回しの良さ考えると軽量な現行モデルも捨てがたい。また、冬キャンメインで遮光性の高いBF生地だと幕内が暗くなるのでむしろ遮光性の低い現行モデルの方が好ましいという考え方もある。以下、“ヴォ―ゲルMID”の独断と私見による所感がコチラ。

◎パネルアレンジが豊富で日除け&雨除けスペースを確保できること
○ペグダウンなしで自立できるため立ち上げ後の位置調整が容易なことと
○常時開放型のベンチレーターがあること
○メッシュフルで換気能調節幅が広く幕内からの視界が良好なこと
○ルーフプロテクトがデフォルトで付属しており耐雨性&遮光性が担保されていること
○フライドア、メッシュドアに加え別売TPUドアにより季節に応じてドアパネルをアレンジできること
○別売TPUドアを装着することにより風雨や冷気の侵入を防ぎつつ幕内からの視界を確保できること
×遮光性の低さ
×ルーフプロテクト未装着時の耐雨性に懸念あり(予想外の雨天時等)
×内外スカートの乾燥のし難さ
×後方からの出入りが出来ず風の抜け難い


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