小生は当初“オガワ張り”は試張りでこそ設営していたものの、実際のキャンプでは何となく風に弱そうなのと設営の手間が相まって投入したことは無かった。…が[オガワ/ロッジシェルターⅡ]のオガワ張り連結を皮切りに雨天時の使い勝手の良さを実感し、ここ最近は実践投入の機会が格段に増えてきている傾向。とはいえ、設営撤収の手間もあるため2泊3日のファミキャンがメインで1泊や雨なしキャンプではテント単体で過ごすことも多い。今回はこれまでの試張り及びキャンプ時での実例を踏まえオガワ張りの利点難点を含めた特徴、特性について改めて考えてみた。
目次
■オガワ張りとは
“オガワ張り”はメーカーの正式名称ではなく元々、[Ogawa/システムタープヘキサDX]がメインタープーポールとタープを接続するセッティングテープをセットで販売し、それを使ったアレンジを提唱したことにより広まった通称とのこと。セッティングテープはガイロープでも代用できるが今では様々な汎用品も販売されており選択の幅が広がった。
◎小生の思うオガワ張りの最大の利点は「雨に濡れない動線を確保できること」。また、タープポールがテント入口の動線を妨げないので出入りがスムーズなことも良い。
○セッティングテープの長さを調節することにより設営スペース(タープ下スペース)を調節できるためスペースに制限のあるサイトでの汎用性が高い。
○ペグダウンなしで自立するテントとの相性が良く、雨天時タープを先行設営しその下でテントを立上げた後、テントを移動することが出来る。撤収時も同様にテントのペグを抜き、タープ下に移動した後撤収作業を行うことにより雨に濡れる時間を短くすることが出来る。
×設営スペースをセッティングテープで調節できるとはいえ、テント後方に二間ガイロープをペグダウンするスペースが必要となり、狭い区画サイトでの併用が難しい。
×タープ一端をセッティングテープ経由で接続しているため、標準的な張り方に比べるとセッティングテープが長くなればなるほど耐風性に劣る。
×セッティングに慣れとコツが必要で設営撤収にある程度の時間を要する。
自立型ドーム型テント[S’more/Deeper]と[ogawa/SystemTarpHexaDX]のオガワ張り連結のイメージを例とする。セッティングテープの長さは170cmでタープ後方はテント頂点よりやや後方に位置取りして雨に濡れない動線を確保している。
■並列&過保護張りの比較
テントとタープの隣に並列に設営する“並列張り”及びタープの下にテントを設置する“過保護張り”と“オガワ張り”との私見比較がコチラ。タープ下スペースを広さを優先したいときは並列張り、雨天設営撤収を優先するときは過保護張りの方が優勢となる。
項目 | 並列張り | オガワ張り | 過保護張り |
セッティングテープ | 不要 | 必要 | 不要 |
設営に必要なスペース | 広い | やや広い(調節可) | 狭い |
雨除け日除けスペース | 広い | やや広い(調節可) | 狭い |
雨に濡れない動線 | 確保できない | 確保できる | 確保できる |
テントタープ間の移動 | ポールが動線に干渉する | ポールが動線に干渉しない | ポールが動線に干渉しない |
耐風性 | 普通 | 弱い | 普通 |
■所有セッティングテープ5種(+1)
セッティングテープは段階別に長さを調節できる“ハトメ式”と無段階調節の“ベルト式”の2つに大別される。“ハトメ式”の方が調節がシンプル、“ベルト式”の方が微調整がし易い分、慣れとコツが必要。小生の所有しているセッティングテープは5種類+オガワ張り調にティピーテントとタープへ接続できるタープアダプター1種の計6種を所有。①②はオガワの“システム”を冠するタープ専用のセッティングテープ、③~⑤は汎用品。⑤は長さ調節幅が一番広いのだがその分、収納時のサイズが大きく実践では全く使っていない。
≪セッティングテープ≫⇒最長
①[ogawa/SystemTarpRecta SettingTape]⇒330cm
②[ogawa/SystemTarpHexaDX SettingTape]⇒400cm
③[HIMIMI/タープ延長ベルト]⇒300cm
④[REVOR/タープ延長ベルト]⇒500cm
⑤[Coleman/エクステンションウエビィングキット]⇒700cm
(⑥[Ribitek/タープアダプター])⇒80cm
ベルト式は長さ表示間の調節も可能。
メーカー | ogawa | ogawa | HIMIMI | REVOR | Coleman |
製品名 | SystemTarpRecta SettingTape (セット品) |
SystemTarpHexaDX SettingTape (セット品) |
タープ延長ベルト | タープ延長ベルト | エクステンションウエビィングキット |
調節方法 | ハトメ式 (段階別/システムタープ専用) |
ハトメ式 (段階別/システムタープ専用) |
ハトメ式 (段階別/汎用) |
ベルト式 (無段階/汎用) |
ベルト式 (無段階/汎用) |
30cm | ○ | ||||
40cm | ○ | ○ | |||
50cm | ○ | ○ | ○ | ||
100cm | ○ | ○ | ○ | ||
150cm | ○ | ○ | ○ | ||
180cm | ○ | ○ | ○ | ||
200cm | ○ | ○ | ○ | ○ | |
230cm | ○ | ○ | ○ | ||
250cm | ○ | ○ | ○ | ○ | |
280cm | ○ | ○ | ○ | ||
300cm | ○ | ○ | ○ | ○ | |
330cm | ○ | ○ | ○ | ||
350cm | ○ | ○ | ○ | ||
400cm | ○ | ○ | ○ | ||
500cm | ○ | ○ | |||
650cm | ○ |
■所有テントとタープ別のセッティングテープの長さ
所有テントとタープをオガワ張りをする際に使用するセッティングテープの長さ。小型幕である[Helinox/Tactical Cot Tent]は過保護張りが主となるため基本セッティングテープは必要ない。
[Manufacturer/ Product name] |
[ogawa/ LodgeShelterⅡ] |
[ogawa/ TassoTC] |
[S’more/ Deeper] |
[Helinox/ Tactical Cot Tent] |
[ogawa/ SystemTarpRecta] |
400/350/330cm | 約80cm | 170cm | (170cm) |
[ogawa/ SystemTarpHexaDX] |
400/350/330cm | 約80cm | 170cm | (170cm) |
[ogawa/ FieldTarpRectaTC] |
約420cm | 約80cm | 100cm | (100cm) |
■[ogawa/LodgeShelterⅡ]のオガワ張り実例
ファミキャン主幕である[ogawa/LodgeShelterⅡ]のオガワ張りの実例。設営スペース、タープ下面積、導線を鑑みて現状で一番汎用性が高いのはセッティングテープ330cmで[ogawa/SystemTarpRecta]を接続したパターンかな。
≪セッティングテープ420cm≫
・[ogawa/LodgeShelterⅡ] + [Soomloom/RectaTarpTC250x295]
⇒[REVOR/タープ延長ベルト]を使用
・[ogawa/LodgeShelterⅡ] + [Soomloom/RectaTarpNL300x385]
⇒[REVOR/タープ延長ベルト]使用
・[ogawa/LodgeShelterⅡ] + [Soomloom/HexaTarp420x540]
⇒[REVOR/タープ延長ベルト]使用
≪セッティングテープ400cm≫
・[ogawa/LodgeShelterⅡ] + [ogawa/SystemTarpRecta]
⇒[ogawa/SystemTarpHexaDX]付属セッティングテープ使用
・[ogawa/LodgeShelterⅡ] + [ogawa/FieldTarpRectaTC]
⇒[REVOR/タープ延長ベルト5m]を使用
≪セッティングテープ330cm≫
・[ogawa/LodgeShelterⅡ] + [ogawa/SystemTarpRecta]
⇒[ogawa/SystemTarpRecta]付属のセッティングテープを使用
■[ogawa/TassoTC]のオガワ張り実例
ティピー型テントの頂点とタープをオガワ張り調に連結できるアダプターを使用。雨に濡れない動線は完全に確保することは出来ないが、雨に濡れ難い導線は確保することが出来る。また、大型タープではテント支柱ポールへの荷重負荷心配なので小型~中型タープを使用することが望ましいと考える。
≪セッティングテープ40cm≫
・[ogawa/TassoTC] + [Soomloom/HexaTarp420x540]
⇒[Ribitek/タープアダプター]を使用
≪セッティングテープ80cm≫
・[ogawa/TassoTC] + [テンマクデザイン/ムササビウィング13TC]
⇒[Ribitek/タープアダプター]を使用
・[ogawa/TassoTC] + [ogawa/SystemTarpRecta]
⇒[Ribitek/タープアダプター]を使用
≪セッティングテープ200cm≫
・[ogawa/TassoTC] + [Soomloom/HexaTarp420x540]
タープ稜線部がテント中央に揃えるとタープとテントが干渉してしまい実用度は低い。
■[S’more/Deeper] のオガワ張り実例
[S’more/Deeper]はキャノピー立上げが可能だがサイドウォールが付いていないため雨天時雨の幕内への侵入が否めない。そのため、タープをオガワ張り連結することにより幕内への雨の侵入も低減することができ快適度が向上する。
≪セッティングテープ170cm≫
・[S’more/Deeper] + [ogawa/SystemTarpRecta]
サイズ感的には丁度良い。下記の連結式だとテントとタープの重なっている部分から雨が幕内に滴る恐れがあるためタープをテント頂点よりやや後ろに位置取りするか、セッティングテープの長さを汎用品を使って100cmに調整するかする必要がある。
・[S’more/Deeper] +[ogawa/SystemTarpHexaDX]
オガワ張り連結のシルエットが綺麗。タープ下面積がソロで使うには広すぎるためデュオもしくはファミキャン時のスタイルかな。
・[S’more/Deeper] +[ogawa/FieldTarpRectaTC]
ポリコットン生地で良質の影を演出してくれる。テント前面に雨に濡れない動線を確保しつつ、ワイドなタープ下スペースも確保することが出来る。
■まとめ
我家でのオガワ張りの主な用途は「雨に濡れない動線」を確保するために採用しているタープ併用アレンジである。特に[ogawa/LodgeShelterⅡ]と[S’more/Deeper]は雨天時のオガワ張りによる恩恵を多大に受けることが出来る。[ogawa/TassoTC]はキャノピーアレンジが豊富なこと、ポリコットン生地で雨予報の際は出動しないことを考るとソロでは単体仕様が主となりタープを張る意義は雨除けというよりはデュオの共有リビングを設けたいときや炎天時の日除け用途が主となる。
■追加検証したいオガワ張り連結
試張りデイキャン時に以下の2点と4パターンのオガワ張りを検証してみたい。
①[ogawa/LodgeShelterⅡ]
⇒[ogawa/FieldTarpRectaTC]+セッティングテープ400cm仕様⇒[ogawa/SystemTarpHexaDX]+セッティングテープ400cm仕様
②[ogawa/TassoTC]
⇒[ogawa/SystemTarpHexaDX]+[Ribitek/タープアダプター]80cm仕様
⇒[ogawa/FieldTarpRectaTC]+[Ribitek/タープアダプター]80cm仕様
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